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アルツハイマー病 脳神経細胞の研究に期待 [アルツハイマー病]

脳神経細胞の研究に期待
ワクチンを臨床試験へ アルツハイマー病治療に 佐賀女子短大など

 佐賀女子短期大学と九州大学および米国カリフォルニア大学アーバン校の共同研究グループは、アルツハイマー病の新たな原因物質と思われる「ホモシステイン酸」の研究を進めています。すでにワクチンを開発し、臨床試験への準備を整えている段階です。アルツハイマー病では、大脳に大きな萎縮と、老人斑と呼ばれる染みが見られます。そこに多くたまっている「ベータアミロイド」という物質が原因ではないかと考えられています。

 しかし、これの発生を抑える薬の臨床試験では、思うような効果が得られず、逆に強い副作用が少なからず確認されました。この研究グループは、ベータアミロイドだけでなく、もう一つの“悪玉アミノ酸”と呼ばれるホモシステインに注目。しかし、ホモシステイン自体は、脳の神経細胞に影響を与えないことが判明しました。

 そこで今度は、その代謝産物である「ホモシステイン酸」に注目。するとこの物質は、ベータアミロイドと反応することにより、非常に低い濃度でも脳細胞を殺す作用があることを発見したのです。3年前のことでした。今回はそのことを、生後4カ月になると家族性アルツハイマー病を発症する遺伝子モデルマウスを使って実験。正常な遺伝子のマウスや、ワクチンを投与しなかったマウスと比較しました。

 実験では、まずホモシステイン酸を体内に増やすようなエサ(ビタミンB6欠乏食)を与え続けた上で、マウスの記憶能力を比較。直径1メートル以上ある桶の中に台座を設けて水をため、端から放ったマウスが台座に泳ぎ着くまでの平均時間を計測しました。その結果、ワクチンを投与されたマウスは投与されなかったマウスに比べ、正常なマウスとほぼ同じ時間(約3分の1)で到達することができました。

 さらに、すでに発症しているマウスにワクチンを投与すると、正常マウスと同等か、それ以上の成績を収めることもありました。脳内を比較してもベータアミロイドの量が明らかに少なくなっており、これは神経細胞に対する毒性が弱いことを示しています。この仕組みを使ったヒト用ワクチンの臨床試験がうまくいけば、アルツハイマー病の予防や治療ができるのでは、と期待されます。

 ホモシステイン酸はストレスによって脳内での蓄積量が増えることが分かっています。過度のストレス生活を送っていないか、いま一度チェックしてみるとよいでしょう。



記憶障害の病気と関係も 神経伝達の新たな物質か 岡山大

 脳の神経細胞内では「小胞」と呼ばれる小さな袋状の器官の中に、神経伝達物質であるグルタミン酸(コンブのうま味成分)が蓄積されます。小胞は、次の神経細胞とのつなぎ目まで移動し、そこで大量のグルタミン酸が放出され、受容体を通じて次の細胞へと伝わっていきます。これが脳内で起きている記憶や学習など神経伝達の基本的な仕組みです。

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の森山芳則教授(生体膜機能生化学)は、小胞内の物質について次のように説明しています。「小胞内にはグルタミン酸と共に、非常によく似た構造をもつアスパラギン酸も多数存在します。そのことは以前から分かっていましたが、あまり注目されてきませんでした」

 ところで、小胞には「トランスポーター」と呼ばれる関所のような役割を果たすタンパク質があります。ここでは、膜で隔てられた小胞内外の種々の物質が選別され、取り込みや排出といった作業が行われています。 「神経細胞の小胞には『グルタミン酸トランスポーター』が存在します。これはグルタミン酸のみを輸送し、アスパラギン酸は輸送しません。 なぜ輸送されないはずのアスパラギン酸が小胞内や脳の海馬にたまっているのかは、長年の謎でした」

 これに答えを出したのが、森山教授が2年前に開発したトランスポーターの解析法です。トランスポーターが何を輸送しているのか、その機能を測定する方法です。「グルタミン酸を輸送するトランスポーターを『VGLUT』といいますが、われわれは今回、グルタミン酸とアスパラギン酸の両方を輸送できるトランスポーターの存在を発見し、『VEAT』と名付けました」
 VEATは、実はすでに分かっていた別のトランスポーターだったと森山教授は明かします。

 「細胞の中には、古くなった物体を消化・分解し再利用する、いわば胃袋のような役割を果たす器官『ライソゾーム』(ライソソーム、リソソームともいう)があります。そのトランスポーターの一つ『シアリン』のもう一つの顔が、VEATだったのです」。シアリン、つまりVEATに異常が起きると、高度の神経機能障害を起こす「サラ病」(ライソゾーム病の一種)を発症することが分かってきました。

 「VEATを活性化させれば、これらの病気をはじめ認知症や記憶障害を改善できるかもしれません。また、新たにアスパラギン酸も神経伝達物質である可能性が出てきました」。VEATをはじめとするトランスポーターの研究者は少なく、まだまだこれからの分野です。末梢神経に応用されれば、さらに多くの病気の仕組みや治療法が解明されるのではと、期待されています。
  http://www.seikyonet.jp/sg/sp/osusume/seikatsuwide/kenko.html


2008-09-28 00:00  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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